---芥川龍之介による自序---「支那游記」一巻は畢竟天の僕に惠んだ(或は僕に災ひした) Jouralist 的才能の産物である。樸は大阪毎日新聞社の命を受け、大正十年三月下旬から同年七月上旬に至る一百二十餘日の間に上海、南京、九江、漢口、長沙、洛陽、北京、大同、天津等を遍歴した。 それから日本へ歸った後、「上海游記」や「江南游記」を一日に一回づつ執筆した。「長江游記」も「江南游記」の後にやはり一日に一回づつ執筆しかけた未完成品である。「北京日記抄」は必しも一日に一回づつ書いた訣ではない。 が、何でも全體を二日ばかりに書いたと覺えてゐる。「雜信一束」は畫端書に書いたのを大抵はそのまま收めることにした。しかし僕のジヤアナリスト的才能はこれ等の通信にも電光のやうに、――少くとも芝居の電光のやうに閃いていることは確である。大正十四年十月 芥川龍之介記この作品は昨年１１月に、ＮＨＫスペシャルドラマ「ストレンジャー～上海の芥川龍之介～」松田龍平さん主演で放映されました。改造社・大正１４年１１月初版発行の芥川龍之介「支那游記」画：小穴隆一・函付きです。発行から９５年を経過した本です。三方にヤケ、小シミがあります。函にはスレがありますが欠損はありません。目録１頁目に目立たない印消し跡があります。（画像８）見返し裏にシールの剥がし跡があります。（画像７）全体としては経年の割には状態は良い方だと思います。函にはＯＰＰフィルム、本体にはパラフィン紙を掛けています。本であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。完璧なお品をお求めの方はくれぐれも購入を控えてください。